「かァ~!!!悔しいけれど、ふたりで1セットみたいに見えてきたじゃね~か。」
「それは嬉しい評価をどうも。」
「皆、待ってるぜ。そのウエディングブーケってやつを。」
悪態をつきながらも、私達の背中を押す森村先生も相変わらずで。
私のダイスキなこの場所に戻ってきたことを改めて感じた。
「そうだな。じゃあ、伶菜。そろそろ一緒にやろうか、ここでの再スタートだしな。俺らの。」
『うん♪』
私が差し出した純白のウエディングブーケを一緒に持ち、私達をずっと見守ってくれている皆に向かって掲げるようにそれを高く上げて見せた。
“伶菜さん、こっちこっち~!!!!”
“ブーケ、come on♪”
“絶対に私が取るの!!!!!”
「待たせちゃ悪いし、それじゃ、行くか。」
『うん!!!!!』
「回れ、右。」
『ハイ、回れ、右!』
「よし、いいな・・・せ~の~で・・・で行くぞ」
『ハイ♪』
「それじゃ・・せ~『の~・・・で!!!!!」』
ふたりで指を重ねながら一緒に持っていたウエディングブーケ。
それをふたりで勢いよく背中越しに放り投げ、
“キャ~!!!!!”
“うわっ!!!!”
“高いっ!!!!!!”
宙を舞っているウエディングブーケを追いかけるように上がる大きな歓声の中。
ナオフミさんと私は繋がったままのお互いの指を強く握り合い、一緒に振り返って、自分達が投げたブーケの行方を追った。
「取ったァ~!!!!!」
「うわ~いいなァ~って、誰?」
「知らない。」
「っていうか、コレ、誰ですか?安田先輩、知ってます?」
「谷本、コレ、誰とかって失礼でしょ?・・・っていうか、あたしも知らない・・・」
さっきまではナオフミさんと私に向けられていた多くの視線は
一斉にブーケを手にした背の高い女性看護師さんに向いていた。
「こ~い~ず~み~!!お前、お局様たちがこんなにも周りに居る中でジャンプしてブーケキャッチするなんて・・・・お前の今後、ヤバくね?」
「あの、その・・・日詠先生ご夫婦があまりにもステキで・・・それにあやかりたいとつい・・・」
「って実際、誰よ?コレ。」
「谷本ってば!!!!!」
その女性看護師さんは少し強張った申し訳なさそうな表情を浮かべながらも、キャッチしたブーケは両手でしっかりと握り締めていてなんだかかわいらしく見えた。
「こい、小泉遥23才独身・・・救命救急センターに所属してます・・あの、すみません丁度通りかかって・・・・・」
「うわ~、お前、丁度通りかかってとか余計だろ。」
小泉さんという看護師さんと知り合いらしい森村先生にツッコまれながらも、ブーケをしっかりと手に持ち一生懸命自己紹介する彼女がとても微笑ましく見えた。
そんな中。
「小泉さんだ・・」
隣でそう呟いたナオフミさんも穏やかな表情で彼女を見つめていて。
『・・・ナオフミさんも、もしかしてお知り合い?』
「ああ。彼女が看護学生時代にウチの病院で臨床実習していた最中に、倒れて・・丁度手が空いていた俺が急遽、処置したから。」
『そうなんだ。立派な看護師さんになったんだね?』
「ああ、元気そうで安心したよ。」
丁度通りかかってくれてブーケをキャッチしてくれたからこその
久しぶりの再会
ブーケを手にしたがって下さっていた産科病棟のスタッフさん達は申し訳なかったけれど
こういう偶然も悪くはないよね?
「しばらく、この事情聴取は続きそうだから、俺らはここらで撤収しようか。青島みかん大福はちゃんとゲットしてから帰らないとな。」
『帰らないとっ・・て?』
「今日は院長+産科看護師長命令で、この後、早退して、家族で楽しくクリスマスパーティーをしろってさ。」
今からナオフミさんも一緒に帰れるんだ
それも皆さんからのサプライズなのかな?



