私が泣いていることに気がついてしまったのか
前を向いたままだった彼もこっちを向いて
「泣き虫だからな、伶菜は。」
そう言いながら、彼はいつものように親指で私の頬に再び流れ落ちそうだった涙を拭い、温かい両手で頬をふわりと包み込んで
「きゃ~!!!」
「日詠センセ?!」
「オレのレイナがァ~!!!!!」
私の唇に温かいキスを落とした。
悲鳴にも似た黄色い声やドス黒い声の中、
わき目も振らずに。
俺のものってアピールするって
もしかしてこのこと?!
「日詠クン、予定外。それにちょっと長すぎなのでは?」
中川院長の囁きにようやく唇を離してくれた彼。
「たまには自己主張もしておかないと。」
「珍しいね、日詠クンが自己主張って。」
「彼女に近付く研修医とかは遠慮を知らないみたいなんで。伶菜も危なっかしいというか・・こうでもしておかないと心配なんです。しつこいヤツもいるみたいですし。」
「いや~森村クンまで来ちゃったか~。産科以外、特に整形外科には漏れないように箝口令(かんこうれい)を敷いていたんだが・・・・・おめでたいことなので、まあ、いいか。」
いつになってもドキドキが治まらない私のすぐ傍で
ナオフミさんは中川院長とヒソヒソ話をしていた。
「日詠クン、実はもう一枚、あるんだが・・コレは私から読み上げることにするから。いいかな?」
「ええ、まぁ・・・」



