ラヴシークレットルーム ~日詠医師の溺愛クリスマスイヴは・・・




「おっ、今日、何かあるのかい?」


特別個室のある病棟の廊下を歩いている初老のおじさんに聞かれたけど、どう返事をしたらいいのかわからない。



「見て見て!!!!・・・・あれ、伶菜さんじゃない?臨床心理の。」

「本当だ・・・マリアベール、似合う~!!!!ステキ~」


丁度通りかかった病院の女性事務職員達も声をかけてくれて。



「早速、注目の的。」

『こんな格好だから・・・』

「何、言ってんのよ。伶菜さんだからでしょ?」

『そんなこと・・・・』


谷本さんと一緒にエレベーターに乗ってさらに移動。
そこで彼女は院内PHSを取り出し、“ちょっとごめんね”と言いながらどこかへ電話をかけた。


「谷本です。間もなく到着します。」





チン♪




エレベーターのドアが開いた。




到着したのは産科病棟のある3階フロア。


谷本さんに背中を押されながら足を一歩踏み出すと

「ママ、キレイ~♪およめさんみたい。」

タキシード姿の祐希が立っていた。



『えっと・・・』

「ぼくと、てをつないで。こっちだよ。」

『あっ、うん。』



祐希から差し出された手を掴み、さらに前に一歩出ると

【伶菜さん、おかえりなさい♪】と書かれた手作りの横断幕を取り囲むように集まっている産科病棟の看護師さん達の姿。



「育児が落ち着いたらいつでも、復帰してね。」

「仮眠室でまたお茶飲みながら、おしゃべりしましょう~」

「ステキ~。これでまたカレはベタベタに惚れ直すわね~」

「さあ、もっと前へ。頼むわよ、祐希クン!」

「ハイ。まかせてください。」

「お~さすが、日詠先生んちのご長男だわ。」


看護師さんに私をエスコートするようにお願いされている祐希はやけに堂々としていて、母親の私も驚くばかり。



「ママ、いくよ。」

『は、ハイ。行きます。』


祐希によって強く握られた手を引かれ、私はさらに前に進んだ。
そのずっと前方に見えたのは


『ナオフミさん・・・』

病棟の廊下の奥にある色鮮やかなステンドガラスから差し込む様々な陽の光を背に受けた白衣にネクタイ姿のナオフミさんだった。

白衣の胸のポケットに純白のブートニアを挿している彼は少し照れくさそうにこっちを見ていた。
視線が絡んだ瞬間、“カ・ク・ゴ・・しろよ”とみたいなことを口パクで伝えてみせた彼。


覚悟・・なんですね