『ご、ごめんなさい、私・・・』
「ダイスキなここを自分から手放すとか、考えちゃっていたとか。」
『えっ?』
おそるおそる鏡越しに後ろにいる彼女の様子を窺った私。
「あんなにも日詠先生にベタ惚れされていて隣にいてもいいのか?って弱気なところも・・・・ムカつく~。」
鏡の中に映りこんでいた彼女は
口をヘの字に歪めた直後、口角を引き上げてニヤリと笑った。
「まあ、伶菜さんが謙虚な人だったから、仲良くしたいとも思ったんだけどね・・・・だから今の聞き流してあげる。もう泣かないでよ。今からメイクを一から直す時間がないからさ~」
『ごめんなさい・・・』
「ほら、謝らない。わかるわよ、そのうちに・・・・・“なんであたし、そんなことで悩んでいたんだろう?”ってね。」
『・・・・そうでしょうか?』
「そうよ。あたしの言うこと、信じられない?」
やっぱり自分に自信はないけれど
堂々とそう口にする谷本さんに
信じられないなんて言い返せない
彼女も私を支えてくれているひとりだから
『・・・信じます。』
「よし、それでよし!さあ、メイクの仕上げ、やるわよ♪」
だからこのままついて行こうと思う
「メイクアップ完成!!!!!伶菜さん、行くわよ。」
私を懸命に導いてくれる人が指し示すほうへ
『は、ハイ!!!!!!!』
こうして私は谷本さんに手を引かれ、特別個室を後にした。
今からどこへ向かうのかも知らずに・・・・



