私が緩和ケア病棟に入院している患者さんと向き合うことによって感じること
それは彼らが進行性の病気を抱えることもあって、死というものをより身近に感じ、それに向き合い苦悩する人が多いように思われる
そんな彼らやご家族の心身を支えようと看護師さん達が献身的に様々な工夫をしており、その姿を見かける度に私も頑張らなきゃと励まされていたりもする
そこで従事している看護師さんも
谷本さんも所属する防災委員の一員らしい
その人も
この谷本さんのメイクボックスに何か関係しているのかな?
「その看護師がエンゼルメイクの達人と言われている人でさ~」
『エンゼルメイク?』
「そう。お亡くなりになった方が人生の最期にふさわしい姿になるように整えるために化粧を施したり、傷口をカバーする行為。それを行うことでお亡くなりになった人の尊厳を守るとともにそのご遺族の心のケアにも繋がると言われるケアなの。」
『なんとなく聞いたことはあったんですけど、凄く大切なケアなんですね。』
「本当にそうなんだよ~。それを極めた人からメイクの基礎から教わったりするうちに、嫌々参加していた防災委員の仕事に対する意欲がグググっと上がってね。それで自分でもココロが元気になるようなメイクをしてみたいと思ってね。」
エンゼルメイクの話を丁寧にしてくれた谷本さんからは本当に看護師の仕事がスキだという気持ちが伝わってきた。
「あたしは産婦人科病棟所属だから、エンゼルメイクではなくて、婦人科とかで長く入院されている方の気分転換になるようなメイクを一緒にやってみたりしてるんだ。」
『そういえば、私がカウンセリングを担当させて頂いた婦人科の患者さんも看護師さんに勧められて久しぶりにメイクしてみたって喜んでた・・・・』
「でも、メイクって、体調不良の目安の1つとされる顔色まで隠してしまうじゃない?だからメイクしていない時の顔色を見落とさないようにより気をつけるようになったりして、看護師としてのスキルにもいい影響を与えているような気がするんだ~」
産婦人科病棟の看護師長の福本さんが
“谷本は態度はデカイけど、あのハートがいいのよ”
と言っているのはきっと彼女のこういう姿勢だよね?
「でね、今日、あたしがやるのは気分転換になるメイクというよりは・・・・伶菜さんのハッピーな気分をグググと上げるメイクってワケ。」
『私・・・の?』



