「はいはい。じゃあ、頑張ってね。寝てても私は起こさないから」


「…………大丈夫だもん」



呆れたように由美はため息をつくと体を前に向けてまたノートをとり始めた。


私も黒板の文字を目で追って、眠気に負けないようにノートにペンを走らせる。


先生の声にうっとりと聞き惚れながら数学の授業は何とか乗り切った。


私、高橋琥珀(たかはしこはく)。高校二年生。どこにでもいる、平凡な女子高生です。


前の席に座っているのは友達の由美。優しくて、とても頼りになる最高の友達。


私はよく、由美に恋の相談をしているんだ。


まぁ、いわゆる恋バナってやつ?


やっぱ女子高生だし、恋のひとつやふたつ、私もしているわけで。


毎日が楽しいんだ。



授業が終わり、今日も無事に終わったことにほっとする。


ああ、今日も奥山先生、かっこよかったな。クールで無愛想だけど実際は生徒思いで。