悪女のルール〜男を翻弄する悪女は貴公子の溺愛からは逃れられない〜

「あなたにプレゼントさせてください。好きなものを何でも言ってください」

「ではシャンパンを」
私は答えた。

彼は不思議そうな顔で私を見る。
「あなたはお酒は飲めないはずじゃ……」
彼は私がたった一言そう言ったのをしっかりと覚えているようだった。

「うふ。ええ」
私は不敵に笑う。

「なら、誰かに贈りものですか?」
彼は伺うように聞いて来る。
それが自分以外の男ではないのかと疑うように、心配するように。

「違うわ」
私は彼に意地悪するのを楽しんでいるかのように笑って答える。

彼はやきもきしながら
「ならどうするんです?」

「うふふ。秘密よ」
と私は彼を見上げて答える。

彼はどきりとしたように頬を赤くして
「分からない。何に使うんです?」

私は処女らしく頬を染めて
「恥ずかしいから言えないわ」
と答えた。

そんな私を見て、彼はますます聞き出そうと躍起になった。
「お願いです、ヒントだけでも。男の僕には分からない。どうして?シャンパンで何をするんです?」

彼の問いには答えず私はただ微笑みながら、棚に並んだシャンパンを吟味した。