「で、奥様、パリでの恋はいかがでしたか」
ドロータは私の荷物を片付けながら訊ねる。
色とりどりの紙袋や箱、トランクに包まれたプレゼントの山。

「そうね、楽しかったわ」
私はドローだが淹れてくれた紅茶を飲みながら答える。

「芸術家に私の絵を描いてもらったの。そうしたらね、彼筆を折ってしまったのよ。あなたより美しいものなんてもうこの先一生出会えない。画家なんて辞めるって」

「まあ、それがこの絵ですか」
ドロータは荷物の中に包まれた絵画を取り出して言う。
「とっても綺麗な絵ですねえ。奥様の黒髪の艶がよく出ています」

私は微笑みながら
「彼、私をずっと見つめていたいから絵に描かせてほしいなんて頼んできたんだわ。でも私も気に入っているの。寝室に飾ってちょうだい」

「はい、奥様」