「食べねえの?」


「あ、や、え、っとさ、それって…その…」


「んだよ。」


「わ、私にためにその二つを頼んでくれたってこと?」


そう、さっきから考えていたのそのことなの。


だって狙わないとそんなこと言えないよね!?


「っ…!」


それを言われた榊はほんのり、頬が赤い…ような気がした。


でもすぐに私から顔をそらす。


「ちげえよ。たまたま。俺も食べたかったの。」


榊の不器用だけど、あったかい優しさに、叫びたいくらい嬉しい気持ちに襲われる。


「えへへ…ありがと!じゃあ一口もらうねっ!」


私はそういって榊のアイスにぱくっと噛みつく。


「んま〜!ラズベリーとバニラ一緒に食べると最高だ!!」


あ、でも…このなかにチョコがはいっててもいいかも…。


……そうだ!


「榊!私のも食べていいよ!」


私は榊のほうに自分のアイスを差し出して、笑顔でそういった。


「は?」


「はっ!てか、そもそも榊に奢ってもらったんだから“いいよ”じゃない…!
好きなだけもらってください!!」


「や、いいよ。いらね、俺さっき食ったし。」


そ、そうなんだけど…そうじゃなくて…


「その二つのアイスにチョコ合わさっても、美味しいと思うんだ!」


その言葉に榊がぴくっと反応したのをまたもや私は見逃さなかった。


「お前がやればいいじゃん。」


「私はもうさっきので十分だもん!!榊にためしてほしいの!」


「…………。」


榊は何を気にしているのか、黙ってしまった。