「いやですぅー!私の耳から頭に保存済み!」


「んなことさっさと忘れろ。」


「永久保存だから無理!!」


ばつが悪そうな顔をして困っている榊の顔を見ているだけで


私には謎の背徳感のようなものが込み上げてくる。


もしかして私…実はSだったり?


「ちっ…はあ。じゃあもういいからさっさと決めろ。」


「え、ほんとに奢ってくれるの?」


「さっきからそう言ってんだろ。早くしろ。」


申し訳なさはまだあるけれど、榊はこうと決めたら絶対に意見を曲げない。


それにせっかく奢ってくれると言っているのに、それを拒否されるのも


あまりいい気はしない…よね?


「じゃ、じゃあ!お言葉に甘えるっ!」


「ん、何にすんの。」


ど、どうしようっ!


全部美味しそうなんだよな…。


さっきも決めるのには苦労した。


「チョコも美味しそう…あ、でもこのラズベリーのやつも…バニラもいいかも…。」


私が1人でぶつぶつ呟いていると、隣には同じように悩む榊がいた。


「榊は何にするの?」


「んー俺はさっきチョコ系食ったから、次はバニラにすっかな。」


それを聞いて、私はさらに頭を悩ませる。


「バニラ…チョコ…ラズベリー…。」


やばいっ…榊のこと待たせてる…


だ、だけど…き、決めれない…!!


私が焦って、あわあわしていると隣にいた榊はレジの方へ向かっていく。


い、急がなきゃ…!


えっと…えっと…あーっ!どうしよう〜〜っっ!


「このラズベリーのやつと、バニラでダブルで。あとシングルでチョコレート。」