同居人は無口でクールな彼




初めて翔哉くんと2人で登校する朝は、いつもよりも太陽が明るく見えた。

夜中に少しだけ降った雨。

雨粒が光って、余計にきれいに感じる。



「あの、翔哉くん」


彼の半歩後ろを歩きながら、声をかけてみる。

でも、翔哉くんは振り返ることもなく、「なに?」とだけ答えた。


「あのね、ありがとう」


一緒に登校してくれているけれど、内心面倒だと思っているかもしれない。

昨日の夜からずっとそう思っていて、お礼だけは早く言いたかったのだ。


「なんだよ、急に」


たった10分の通学路を誰かと歩く。

こうした楽しい登校はいつぶりだろう。


「でも、言いたかったから。ありがとうって」

「……ずっと思ってたんだけど。最近お礼言いすぎじゃね?」

「そう?」