次の日の朝。
普段なら先に登校してしまうところを、翔哉くんは言葉通りわたしが家を出る時間までリビングにいてくれた。
でも、その様子があまりにも不自然で、思わずおばさんとおじさんと顔を見合わせて笑ってしまうくらいに。
だって、テレビを見ることなく、ただ窓の外を眺めていたのだから。
それも落ち着かない様子で。
「翔哉くん、おまたせ」
スクールバッグを持って、窓際をウロウロしている翔哉くんの元へ。
翔哉くんはわたしの目を見ずに、自分のスクールバッグを手に取った。
そして、短い「ん」という返事をして、先に玄関に向かってしまう。
「鈴香ちゃん、いってらっしゃい。気を付けるのよ」
「はい、いってきます」


