同居人は無口でクールな彼




「俺、まだ一緒に登下校しないとは言ってないけど」


おばさんとのやり取りが一通り終わると、まだ部屋に戻らずに廊下にたたずんでいた翔哉くんが、振り返ってこう言った。


「え?」


翔哉くんの言葉が信じられなくて、思わず聞き返してしまう。


わたしの勘違いじゃなければ……

翔哉くん、わたしと一緒に登下校してくれるってこと?



「翔哉、鈴香ちゃんの用心棒してくれるのね。頼むわよ」


おばさんは全く疑っていない様子で、満面の笑みで翔哉くんを見つめていた。

それに翔哉くんは何の反応も示さないまま、颯爽と自分の部屋に戻っていった。


「あの、おばさん」

「よかったわね、鈴香ちゃん。これで安心よ。翔哉、ずっと空手やってるし、用心棒くらいにはなるだろうから」