わたしが泣いていることに気づいた翔哉くん。
思わず靴を脱ぎかけた状態で、わたしの顔を見たまま固まった。
「翔哉、ちょうどいいところに帰って来てくれたわね」
「…………」
翔哉くんはお母さんが話しかけているのに、わたしから視線をそらさなかった。
「鈴香ちゃん、帰りに誰かにつけられたんですって」
「は?つけられたって……」
翔哉くんのその瞳は、まるでわたしを心配してくれているように見えた。
「翔哉、明日から鈴香ちゃんと登下校一緒に行きなさい」
おばさんの声は届いたはずなのに、翔哉くんは黙って靴を脱ぎ、中へと上がっていく。
今までだって一緒に登校することだってできた。


