同居人は無口でクールな彼




確かに翔哉くんは先生に怒られてはいない。


でも……

英語の授業の様子からして、おそらく翔哉くんは予習をやってきていない。

だって、一度も答えられたところを見たことがないのだから。



「鈴香ちゃん、悪いんだけど。翔哉の宿題一緒に見てやってくれない?」

「え?」

「宿題やれって言うだけでもいいの。私が言うと怒るのよ、あの子」


おばさんの話に思わず笑ってしまった。

翔哉くんもお母さんに怒るんだって。


おばさんとわたしの笑い声が聞こえたのか。

ちょうど帰宅した翔哉くんが、不思議そうにリビングをのぞいていた。



「あら、翔哉。おかえり」

「…………」


翔哉くんは「ただいま」も言わずに、まだじっとわたしたちを見ている。