「じゃあ、俺がやるからそれでいい?」
投げやりな言い方の翔哉くんは、相手を威圧しているようにも見えた。
彼のその声には誰も逆らえずに、結局文化祭のクラス委員は翔哉くんに決まったのだった。
「翔哉くん……!」
だるそうに教室を出た翔哉くんを、慌てて追いかけて引き留めた。
どうしても、お礼が言いたかった。
だって、翔哉くんが委員を引き受けてくれたのは、きっと――
「あのね、さっきはありがとう」
「……なにが?」
ぶっきらぼうな言い方は変わらない。
でも、それが照れ隠しだと思ってしまったのは、気のせいかな。
「クラス委員代わってくれて」
「別に代わったわけじゃないから」
「でも、ありがとう。わたしも手伝うからね」
わたしなりの誠意を見せないとと思った。
翔哉くん、クラス委員なんて引き受けたくはなかっただろうから。


