同居人は無口でクールな彼




「鈴香ちゃん、スマホ鳴らなかった?」

「え?」


終わったらそのまま帰れるように、ここにはカバンを持ってきていた。

その内ポケットにしまってあるスマホを取り出してみると、希美ちゃんの言う通り通知が1件入っていた。



「誰からだった?お母さん?」


時々お母さんからラインが入るから、今回もそうだろうと思った。

でも――


「え?」

メッセージは翔哉くんからだった。


「なに?何かトラブル?」

「あ、ううん。お母さんからだった」


希美ちゃんは、わたしとお母さんが離れて暮らしていることを知らない。

わたしが翔哉くんの家で居候させてもらっていることも。


だから、とっさに嘘をついてしまった。