同居人は無口でクールな彼




「家でできれば良かったんだけどね」


含みのある笑いを浮かべられて、すぐには言葉にできなかった。


「家族に反対されてるの?」

「別にそういうわけじゃないけど……」

「あ……」


いきなり踏み込みすぎたかもしれない。

まだ友達になって数日なのに、聞いちゃいけないテリトリーに踏み込んでしまった。



「ねえ、希美ちゃん。ここのシーンなんだけど」


慌てて話題を変えた。

でも、希美ちゃんの表情はこわばったまま。


どうしよう……

嫌われちゃったかもしれない。


「えっと、鈴香ちゃん、そこはね」


希美ちゃんも何事もなかったかのように、わたしの質問に答えてくれる。

でも、わたしの心はちっともすっきりしなかった。