「ねえ、野々村さんのことそんな風に言わなくても」


教室を出るときに、希美ちゃんの声が聞こえた。


ダメ、希美ちゃん。

わたしをかばったりしたら……



「なに、希美。珍しいじゃん。あいつの肩持つの」

「別に肩持つとかじゃ……」


わたしを助けてくれようとしてくれたのはうれしい。


でも、そんなことをしたら、希美ちゃんが……

希美ちゃんがみんなの反感を買っちゃう。


そんなことさせたくなかったから……

わたしはあの時――


“あのね、教室では普段通りにしよう”

そう言ったのに。



「友達になったんじゃねーの?」


家に帰ってくるなり、翔哉くんは開口一番にわたしにこう聞いてきた。