わたしが漫画を見てしまったことで、佐藤さんが嫌な思いをしたのは事実。
そのことを、ずっと謝りたかった。
「私、野々村さんのこと誤解してたみたい」
佐藤さんは、静かにこうつぶやいた。
「私こそごめんね。昨日、急に怒って」
わたしは、ううんと首を横に振った。
クラスの女の子と、こうして会話をしていることが、少し恥ずかしい気持ちになってくる。
「佐藤さんの漫画、見てもいい?」
「うん、いいよ」
佐藤さんは「まだ途中だけどね」と付け加えた。
漫画には2人の美青年の恋模様が、とてもきれいに描かれている。
こういう漫画は初めてで、途中なのにドキドキした。
「佐藤さんはBL好きなの?」
「実はね。読むのも描くのも好き。野々村さんは?」
「わたしは今初めて読んだ」


