今日は部活がない日だったから、あきらめて帰ろうと、帰り支度を済ませて廊下を歩いているときだった。
教室のすみに佐藤さんがいたのを、ふと目にしたのは。
「あ……」
この日も佐藤さんは誰もいない教室で、たった一人何かを黙々とやっていた。
きっと昨日と同じ――
漫画を描いているんだと思う。
でも、教室は昨日とは違った。
わたしにバレたから、場所を変えたってこと?
そうだとしたら、また話しかけたら悪いかと思った。
でも、伝えることだけ伝えようと、扉を開けて教室に入っていった。
昨日と同じように、ビクンと体を震わせた佐藤さん。
驚いた表情でわたしが入っていく様子を、じっと目で追っていた。
「あの……佐藤さん」
どうしてここに来たんだと言わんばかりの視線に、耐えるのはつらかった。


