「ルーズリーフだと大きいね」
「……メモ帳持ってないから」
少し拗ねたような翔哉くんは初めて見た。
少しずつ知らない彼を、知っていくことがうれしい。
「ありがとう」
大切にそのルーズリーフを抱きしめると、翔哉くんと目が合った。
でも、すぐにそらされてしまって、少し寂しい気持ちになる。
「あの、翔哉くん」
「なに?」
「翔哉くんは、わたしのこと、名前で……」
途中まで言って、突然恥ずかしさが増してきた。
“わたしのこと名前で呼んでくれないの?”
こんなことを聞いたら、名前で呼ぶことを催促しているみたい。
慌てて口をつぐんで、「何でもない」と伝えた。


