鈴香ちゃんを見送った私は、灰谷の様子が気になった。
たぶん鈴香ちゃんが向かったのは、篠原のところ。
きっとそのことに灰谷も気づいているはずだ。
「灰谷、先にバスのところに戻っていよう」
「そうだね、のんちゃん」
灰谷の声は元気がない。
それはきっと気のせいじゃなくて――
「灰谷、そこ鈴香ちゃんの席」
「戻ってくるまでここにいる」
バスに戻ってきたのはわたしたちだけ。
こういう時、何を話したらいいのかわからない。
だって、灰谷は――
「あの2人、うまくいったかなあ」
自分は辛いくせに、強がって鈴香ちゃんと篠原を応援している。
そんな姿が痛々しかった。
「灰谷は、これでよかったの?」
「――――ん」