同居人は無口でクールな彼




空手部は第2体育館で練習している。

翔哉くん以外にも全国大会に出場する選手がいるようだけれど、10人にも満たない少ない部だった。


道着を着て練習に励む翔哉くんの姿は、普段とは別人だった。

少し遅めに見学に来たから、結局練習を見られたのは10分くらいだったけれど……

新しい翔哉くんがたくさん見られたなあ。


「誰かに用っすか?」


今年入ったばかりの1年生だろうか。

入り口に立ちすくんでいるわたしに、1人の男の子が声をかけてくれた。


「えっと、翔哉くん……篠原翔哉くんを待ってて……」

「篠原先輩っすね。篠原せんぱーい!彼女さん待ってますよー」


声をかけてくれたのはよかったけれど、あろうことにわたしを翔哉くんの彼女だと大声で呼ぶ声が体育館中に響き渡った。