「篠原は決めてるの?将来の夢」
「え?あー、まあ……」
「え!?そうなの!?まさか、空手続けるの?オリンピック目指すとか?」
「いや……」
「じゃあ、なによ?」
「……言わねー」
「なによ、もったいぶってないで教えなさいよ」
翔哉くんの将来の夢は聞いたことがない。
てっきり空手を続けていくものだと思ったけど、そうじゃないんだ。
本当は将来の夢が何か聞きたかったけど、翔哉くんは絶対に教えてくれなかった。
「すず、今日の部活終わるの1時間遅いんだけど」
「大会直前だもんね。練習頑張るね」
「どっかで時間つぶして待ってて」
翔哉くんは部活が大会前で大変でも、わたしを送っていくことをやめなかった。
疲れているはずなのに、必ず送ってくれるんだ。


