「希美ちゃんの描いてる漫画見てもいい?」
「え?」
この前のことがあったからか、のんちゃんは少し身構えた。
「実はね、わたしたちBL漫画も読むんだ。みんなには内緒にしてたんだけど」
まさかの同士がいたとは。
笑顔で「いいよ」と言ったのんちゃんは、漫画の原稿を渡す。
「希美ちゃん、本当に絵が上手だね」
「野々村さんも手伝ってるの?」
「えっと、うん。背景とかだけど……」
「美術部だもんね。絵上手なんだね…………鈴香ちゃん」
初めてのんちゃん以外の女子から、名前で呼ばれた。
それに、わたしが入っている部活も知っていてくれた。
わたしも「ありがとう、カナちゃん、ハルちゃん」と返した。
確実に前に進めてる。
そう思った。


