灰谷くんは優しく笑っている。
翔哉くんは何も口にしなかったけれど、彼の考えていることは手に取るように分かった。
きっと翔哉くん、許せなかったんだと思う。
昔自分の趣味をからかわれたことがあるから。
きっと、わたしや灰谷くんよりものんちゃんの気持ちがわかるんだ。
「篠原くん、かっこよかったなあ。あのまま漫画を踏みつぶすかと思ったけどね」
「そうしようと思ったけど、漫画に罪はないから」
翔哉くんらしい回答に思わず頷いてしまう。
「それに、鈴香ちゃんもすごかったね。あんなに堂々と言うとは思わなかったよ」
「だって、許せなくて……どうしてあの子たちと友達になろうと思ってたんだろうって、今になって不思議で不思議で」


