とどめの一発を彼女に浴びせて、翔哉くんはわたしのところへやってきた。
もう余計なことを言う人はどこにもいない。
翔哉くんの顔を見て、わたしは一歩前に出た。
「残りの漫画、返して」
漫画を持っていた放心状態の子から漫画を受け取ると、わたしはのんちゃんの元へ。
「その漫画、俺らが戻ってくるまでに元通りにしておけよ」
最後に翔哉くんがにらみを利かせる。
そして、4人で教室を出た。
わたしたちはゆく当てもなく、ただ廊下を歩いた。
どこに向かっているわけでもなく。
ただ、4人だけになれるところに。
そして、たまたま誰も通っていない階段の踊り場で足を止めた。
「のんちゃん、ごめんね。これしか取り返せなかった」
「ううん。鈴香ちゃん、ありがとう。灰谷も……それに、篠原も」


