すると、翔哉くんは突然手に持った漫画を床にたたきつけたのだ。

そして、その漫画を踏みつけようと片足を上げている。


「ダメ――――!」


自分の大切な漫画が踏みつぶされそうになって、その子はようやく声を上げた。

その声と同時に、翔哉くんの足が止まる。


「目障りだから、ぐしゃぐしゃにしようとしただけなんだけど」

「ひどい……!私の大切な漫画なのに……」


その子は半泣きだった。

あの子は毎日のように漫画をこっそり学校に持ってきては、休み時間に読んでいた。


それくらい少女漫画が好きだったのだ。

翔哉くんはその姿を見ると、あっさり足を引っ込めて、漫画を机の上に戻した。



「どうだった?大切にしているものをけなされた気分は」