「あんた、最低だな」
灰谷くんとは思えない言葉だった。
わたしたちがクラスメイトと疎遠になっていても、彼だけはうまくやっていたのに。
こんなにはっきり非難するなんて――
これもきっとのんちゃんのためだ。
灰谷くんはのんちゃんの隣から離れなかった。
「なあ――」
ずっと黙っていた翔哉くんが、口を開いた。
そして、気づいたら席を離れていた。
翔哉くんが立っていたのは、その女子の席の真横。
「これ、あんたの趣味?」
彼女の机の上に置いてあったのは、流行りの少女漫画。
それを指さしている。
「そ、そうだけど……それがなによ」
「ふーん。こんなのが趣味なんだ」
「女子高生はみんな読んでるじゃない。何もおかしなことはないわ」


