同居人は無口でクールな彼




きっとそのプリントのことだ。

そのプリントは夏休みの講習でも使える重要なプリントだとも話していたっけ。

午後に控えた英語の授業までに返してもらわないと困るよね。


「灰谷、あったー、ごめん――って、わあ!」


のんちゃんがカバンを開けて、中からプリント出した時だった。

ちょうどのんちゃんの机の横を通り過ぎた男子が、運悪く机にぶつかったのだ。


そして、バランスを崩したカバンがそのまま机から落ちてしまう。


「――――っ」」


わたしはその光景に息をのんだ。


だって――


「あー、悪い。ぶつかった――ってなにこれ」


口が開いていたカバンから漫画が飛び出て、床に数枚散らばっていたのだから。

のんちゃんは、顔を真っ青にして固まったまま動かない。