「でもね、鈴香ちゃん」
のんちゃんは、静かに話し始める。
それは、わたしの心を描き乱す内容だった。
「クラスにミクちゃんっているでしょ?」
「うん」
「教室でその子が話してるのを聞いちゃったんだよね。篠原のことをかっこいいって言ってた」
「え――?」
ミクちゃんが翔哉くんのことを――?
ミクちゃんはこの前休んで、翔哉くんに歴史のノートを借りた女の子だ。
もしかして、そのことがきっかけで……?
「今まで篠原のことかっこいいって言ってる女子なんていなかったから驚いたんだけど。なんか親切にしてもらったみたいだよ、篠原に」
「あ……」
やっぱりあのときだ。
あのときをきっかけに、ミクちゃんは翔哉くんを……


