「でも、すずと灰谷は違ったじゃん」
「え……」
「佐藤の漫画のこと知っても、バカにしなかった」
翔哉くんにはのんちゃんの漫画のこと詳しく話したことはなかったのに。
さすがに気づいていたみたい。
この様子だと、きっとのんちゃんがどんな漫画を描いてるのか想像ついてるかもしれない。
「佐藤の気持ちすごく分かるんだ。だから、すずと灰谷と一緒にいることを選んだんだと思う」
「翔哉くん……」
「だから、その……すずと灰谷には…………すごく…………感謝してる」
照れたような翔哉くんの顔が頭にこびりついて離れない。
これは、もう一度信じてみてもいいと思ってくれたってことだよね?
わたしたちを――
今の言葉を灰谷くんにも聞かせてあげたかった。
きっと泣いて喜んだに違いない。


