「俺、ずっと空手やってるじゃん。小学生の頃からなんだけど、周りの友達はほとんどサッカーしててさ」
翔哉くんは静かに話し始めた。
「俺はサッカーに興味なかったし、上手くなかったからみんなにバカにされたんだ」
「そんなことが……」
「それだけならよかったんだ。サッカー下手なことをバカにされるだけなら。でも、そいつらは俺が大切にしてた空手のことまでバカにしてきて。しまいには道着に落書きまでされた」
「そんな……ひどい」
いくら小学生だったからって、人が大切にしているものをそんな風に扱うなんて。
「こんな友達ならいらないなって思ったんだ。別に1人でいいって。それから俺はずっと1人だった――」
今までの話しなんて聞いたことがなかった。
こんなにもずっと1人でいたなんて……


