「もう、鈴香ったら。やることが遅くて。優ちゃん、ごめんね。迷惑かけてない?」
通された席に座ると、開口一番にお母さんが苦笑いを浮かべて言った。
「なに言ってるの、友ちゃん。鈴香ちゃんのお陰でとても助かってるのよ」
「ほんと?」
「翔哉が鈴香ちゃんの言うことなら聞いてくれるから、いろいろお願いしちゃったし。それに、翔哉の勉強の面倒も見てくれて」
車であれだけ話していたのに、お母さんとおばさんの会話は、料理が届いても続いた。
ちらりと翔哉くんを見ると、2人の会話を全く聞いていないようだった。
ただ黙々とカレーを食べ続けるだけ。
「実は、今日戻ってきたのは、鈴香の様子を見に来たっていうのもあるんだけど」
全員がカレーを食べ終わると、ようやくお母さんが本題に入った。
「お父さんね、もうすぐ完治しそうなの」


