「えっと……まだ決まってるわけじゃないんだけど、11時30分頃にはお店に入るように出ると思うよ」
「わかった」
この反応は、一緒に行ってくれるってこと――?
もしかしたら、断られるかもしれないって思ってたけど。
また黙々とご飯を食べ始めた翔哉くんを見て、おばさんが笑っていた。
「ほんと、鈴香ちゃんの言うことならすぐに聞くんだから」
と、言いながら――
この時のわたしは、お母さんが一時的に帰ってくるのは、わたしの様子を見に来るだけだと思っていた。
「鈴香ちゃんのお母さん、帰ってくるの?」
だからわたしは、笑顔でのんちゃんたちにも話せたんだと思う。
「ということは、篠原くんとの同居生活も終わっちゃうんだね」
「え……?」
灰谷くんの言葉に、思わず漫画の背景を描いていた手が止まった。


