「言わないよ。それにしても、鈴香ちゃんが篠原を……灰谷、強力なライバル現れたよ。どうする?」
のんちゃんの言い方は、まるで挑発しているようだった。
でも、灰谷くんはずっと笑顔のまま。
「どうするって、応援するに決まってるじゃん」
灰谷くんは、あっさりこう言いきった。
「いいのー?篠原とられちゃうかもよー?」
「だから、俺はそういうのじゃないって!」
少し呆れた様子の灰谷くんは、わたしの両手をがしっとつかんでこうこう言ったのだ。
「鈴香ちゃん!俺、応援するから!頑張って!」
「えっと……ありがとう」
あまりの勢いに圧倒された。
ちょうどその時に、トイレから戻ってきた翔哉くんと目があって……
翔哉くんが険しい表情になっていった。


