「篠原って、鈴香ちゃん相手だと素直だよね」

「そう?」


のんちゃんの言葉に首をかしげた。

確かに翔哉くんは自分の意見をはっきり言う人。


その言葉に傷ついたこともあった。

でも、翔哉くんの態度も変わってきているのも事実だった。


「明日からもやる?この勉強会」


のんちゃんの提案にわたしと灰谷くんは乗り気だった。


「いいね」

「やろう」


でも、翔哉くんは――


「…………」


なにも言わなかった。


「鈴香ちゃん、明日も勉強教えてね」

「うん、わたしでよければ」

「え?俺には?のんちゃんに教えてたの主に俺だったじゃん」

「あれ?そうだっけ?」


思わず、ふふっと笑うと、わざとらしく翔哉くんは音を立ててカバンを肩にかけた。

「帰るぞ、すず」と言いながら。