「翔哉くん、そんなにはっきり断らなくても」
「…………」
「灰谷くん、あからさまに落ち込んでるよ」
翔哉くんはきっと自分の言葉に相手が傷ついても、全く気にしないタイプの人間だ。
でも、決して優しいところがないわけじゃない。
今だって、少し言いすぎたかもと、隣の灰谷くんを気にしているのだから。
「でも、仲良くはしない」
これは翔哉くんなりの、友達になってもいいという表現なのかもしれない。
灰谷くんはその言葉に感動して、わたしとのんちゃんは顔を見合わせて笑った。
「でも、篠原くんとこうやって勉強会できるなんて。鈴香ちゃんのおかげだな」
翔哉くんはまた、眉をしかめて机に向かっている。
灰谷くんが話すたび、機嫌が悪くなっているような気がするのは気のせい?


