「篠原くん!灰谷です!灰谷優太!」
「…………」
「篠原くんのこと翔哉って呼んでもいいですか!?」
「却下」
目の前の2人は、まるで漫才をしているかのようだった。
合わせてきたかのように、テンポもいい。
しかも興奮気味の灰谷くんが、すべて空回りしているのが少しおもしろい。
「今日は数学から教えて」
そして、まだ何か言いたげな灰谷くんを無視して、わたしに話しかけてくる翔哉くん。
まさか自分から教えてと言ってくるとは思わなかった。
でも、それは増員な灰谷くんから逃げるためだったのかなとも思った。
「数学ならテキストの問題を何度も解いたらいいよ」
翔哉くんが数学のテキストを出すと、それに続くようにのんちゃんも灰谷くんも数学を準備する。


