約束を守ってくれたことが嬉しくて、思わず顔がほころんだ。
「まさか本当に来るとは……」
のんちゃんの本音だろうけど、すべて漏れて翔哉くんにも丸聞こえだった。
「帰ろうか?」
「いやいや!帰らないで!篠原くん!」
きっと本気ではなかっただろうに。
翔哉くんの言葉をまともに受け取った灰谷くんが、必死に呼び止めていた。
さすが天然の灰谷くん。
冗談が通じないみたいだ。
「あんた、だれ?」
まさか本人に直接聞くなんて。
きっとそんな度胸があるのは翔哉くんくらいだろうなと思った。
言われた灰谷くんは目を丸くしている。
それを見て、のんちゃんは笑いをこらえるのに必死だ。


