「なに?」
じっと見すぎたのか、翔哉くんが聞いてきた。
「あ、えっと……翔哉くん、覚えるの早いね」
「……初めて言われた」
照れ臭いのか、しばらく合っていた視線がそれてしまった。
こっちまで恥ずかしくなってくる。
「あ、そうだ。翔哉くん」
「なに?」
「明日からみんなで勉強しない?」
「………みんな?」
「うん、今日灰谷くんから声をかけてもらったし。みんなで勉強できないかなって」
今日も勉強を一緒にしてくれるなんて思ってもみなかったから。
もしかしたら、賛同してくれるかもと思ったのは確か。
「灰谷って……だれ?」
まさか覚えてないとは思わなかった。
でも、翔哉くんの表情からして、知らないのは本当のことみたい。


