……どうしてわざわざリビングで?
もしかして、おばさんにちゃんと勉強しているところをアピールするためとか?
まさか、翔哉くんに限ってそれはなさそうだし。
ある程度の勉強道具を持ってリビングに行くと、まだ翔哉くんは来ていなかった。
「何からやる?」
翔哉くんがリビングに入ってきて、口を開いた彼の最初の言葉だった。
「えっと、翔哉くんは何が1番苦手?」
「英語」
「じゃあ、英語からやろう」
「英語の教科書だけでいい?」
「教科書とノートとワークがあればいいよ」
リビングに入ってきたとき、翔哉くんは筆記用具だけで他に何も持っていなかった。
テスト範囲が分からなかったから、何を持ってきたらいいのか分からなかったのかもしれない。


