思わず自慢げに返してしまう。
自分のことではないのに、まるで自分がほめられている気分になる。
「はは!野々村さん、何そのドヤ顔。かわいー」
まさかの灰谷くんの「かわいい」発言に固まってしまった。
わたしだけじゃなくて、希美ちゃんも。
確かに自慢げだったかもしれないけど。
それをかわいいと言われるなんて……
「ねえ、希美ちゃん、高校生の男の子って、“かわいい”ってよく言うの?」
「言うわけないじゃない。普通、高校生男子言わないよ」
やっぱり……と灰谷くんの顔を見ると、不思議そうに首をかしげていた。
もしかして、灰谷くんって……
「灰谷って、天然タラシなのね」
わたしの気持ちを代弁してくれたかのような、希美ちゃんのセリフ。


