同居人は無口でクールな彼




灰谷くんはそれ以上追及してこなかった。

きっとわたしたちが答えにくいってことを察してくれたんだと思う。


灰谷くんは質問が多いけれど、あまり深入りをしてこない。

灰谷くんと話しやすいと感じるのは、それが理由だと思う。


「ねえ、ここの背景なんだけど。渡り廊下で話してる感じにしたいのね」

「渡り廊下……」

「写真撮ってきて、それを見て描いたら?」

「灰谷ナイスアイディア!明日、鈴香ちゃんと灰谷で背景お願いしていい?」

「いいよ」


灰谷くんも加わって、早速明日からわたしたちは背景も担当することになった。

初めは希美ちゃんとだけの秘密の放課後だったのに。


そこに灰谷くんが新たに加わって、少しにぎやかになった。

この場に翔哉くんもいたらいいのになあと、漠然と感じた。