同居人は無口でクールな彼




わたしのときとは違う。

2人の会話はとても弾んでいて、わたしが入る隙間なんてなかった。


「実はわたし、背景描くの苦手なんだよね。2人背景描けない?」

「何かを見て描けばいけるかも」


そうわたしが答えると、灰谷くんも「俺も」と加わった。


「それにしても、野々村さんと佐藤さんって仲良かったんだね。クラスでは一緒にいるところみたことなかったから」


痛いところをつかれて、わたしと希美ちゃんは顔を見合わせた。

そう言えば、漫画に気を取られて、わたしたちの設定をすっかり忘れていた。


わたしたちは教室で他人の振りをしていたんだった。


「えっと……」

「あのね、私の漫画をこっそり手伝ってもらってるから、それで教室では……」

「あー、そういうことね」