気になっていたことをそっそり耳打ちで聞いてみた。
こんなにあっさり見せてしまってよかったのかって。
「あんなに嫌がってたのに」
「最初はね。でも、鈴香ちゃんが普通に受け入れてくれたから。それに」
「それに?」
「灰谷って美術部に入ったんでしょ?手伝ってもらえるかなあって思って」
「あ、そう……」
希美ちゃんってなんとも現金な人だ。
灰谷くんが美術部だと知って、わたしみたいに手伝ってもらおうとしているのか。
「すごいね、佐藤さん。漫画上手じゃん」
「ねえ、灰谷。実は鈴香ちゃんが漫画を描くの手伝ってくれてるんだけど、灰谷も手伝ってくれない?美術部ってことは絵うまいんでしょ?」
「美術部だから絵がうまいって偏見だと思うけど。まあいいよ。俺にできることなら。ただ、最初に言っておくけど、俺漫画描いたことないからね」


