「……もう一度する?」
そんな真面目な顔つきで見ないで。
ただでさえドキドキしてるのに……。
「馬鹿言ってないで早く掃除終わらせてよね!」
恥ずかしすぎて目も合わせられない。
でも不思議と冬馬がどんな表情をしてるかが分かる。
「俺はずっとアキの事忘れてなかったよ、アキを見つけた時嬉しかった」
柔らかい感触と香りを感じる。
ああ、そうか。
今私は抱きしめられてるんだ……。
「ちょ……ちょっと……」
声が思うように出ない。
相変わらず冬馬は私をドキドキさせてくる。
私だって冬馬を忘れた事なんてないよ。
引っ越すことが分かった時どれだけ泣いたか。
でもまたこんな形で巡り会えって……近くにいるなんて。
「今キュンとしただろ?良いんだぜ付き合ってやっても」
腹が立つその言葉にやっとの思いで冬馬を見ると勝ち誇ったような顔で私を見ていた。
この意地悪め……。
