名残惜しい最後の居残りも終わり私は冬馬と帰路についている。


夕方だというのに厳しい暑さだ。


太陽もかなり近くに感じる、日焼け止め塗ってないのに……。


「それでアキは明日どこに行きたいのか決まったのか?」


「あ……そういえば全然決めてないや。冬馬がどういう所が好きか分かってなかったし」


会話の中でふとデートの約束を思い出すなんて私は最低だ。


その約束を薄れさせるくらいドキドキさせる冬馬にも非はあると思うけどね。


「アキのことだからそうだろうと思って、知り合いにオススメのとこ色々聞いてて良かった」


冬馬は無意識にそう言うけど、一体そんなの誰に聞いたんだろう。


クラスメイトと話してるの見たことないし、家族にこんな話するような人でもない。


少しモヤモヤしたけど、この時は気にも留めずにデートが出来る事に浮かれてすぐに忘れたんだ。


「じゃあ冬馬にまかせるよ?私としてはリードされた方がありがたいよ」


私が安心してそう返すと冬馬はほっぺを掻きながら「わかった」とだけ返した。