「浴衣着てくれたんだな……。」
「あ、うん……。やっぱ変かなあ?」
自分でもあまり似合ってないように感じたし、やっぱり普通の服の方が冬馬は良かったのかな。
私は色々勘ぐって少し俯く。
「いや……めっちゃ可愛い。……凄く似合ってる。」
「えっ?……ありがとう、冬馬もカッコいいよ。」
冬馬は照れるような仕草をしながら言うもんだから私もつられて赤くなる。
黙り込むと鼓動がハッキリ聞こえて余計に恥ずかしいよ……。
「おーい、一応俺の前だからね。少しは気を使えよ君たち。」
井出くんのその声に私と冬馬はハッとなり現実に引き戻される。
「つーか何でお前がいるんだよ。雰囲気壊しやがって。」
「地元の祭りなんだから来てもいいだろ。それに俺だって今日はデートなんだ!」
井出くんは妙に高いテンションを見せると思ったらそういうことね。
井出くんの良さを見てきた私はただただ、彼が幸せになる事を願うばかりだよ。
